執筆者:KiyoリハビリPROS
理学療法士 清塚顕
監修:白庭病院 副院長
川田和弘
体力低下を軽く考えないでください
パーキンソン病の専門的なリハビリというのは、ある程度の負荷(運動の強度)が必要です。あまりにも体力が低下していると、十分なリハビリが行えず効果が限定的になる場合があります。
私の元へ相談に来られる方の中には、だんだん家の外に出なくなり気がつけば家の中に閉じこもり気味になってしまった方、その家の中でもほとんど動かない生活を送っている方など体力の低下をきたしている方が少なくありません。少し歩くと疲れてしまう、軽い運動でも限界がきてしまう。これを読んでいる方がもしそうなら、苦言かもしれませんがあなたの事を思ってあえて言います。体力低下を軽く考えないでください。
フレイルという考えを知ってください
体力があるから、リハビリができ、外にも行ける、そして生活ができるのです。
「加齢により身体が動きにくくなり、日々の活動量が低下し、体力が低下していく。」このうような負のサイクルを繰り返した結果、虚弱な状態になってしまう事を「フレイル」と言います。(またフレイルに関しては詳しく説明する機会を作ります)
下の図はフレイルのサイクルを描いています。見ていただくとご理解いただけるように、どこをスタートにしても様々なきっかけからフレイルが進んでしまう可能性があるのです。

パーキンソン病の方の場合はこの図のうち「活動量の低下」からフレイルが進んでいく傾向があるように感じています(私個人の感想です)。その結果生じた著しい体力低下を、まるでパーキンソン病が進行したかのように感じる方もおられます。実際に著しく体力が低下してからリハビリの相談をされる方も一定数いらっしゃり、そこまで体力が低下している場合パーキンソン病のリハビリとして十分な負荷がかけられない事もあります。その場合は段階を踏んだリハビリプログラムを考え、パーキンソン病のリハビリプログラムと並行もしくは先行して体力強化作戦からスタートする必要があります。
体力に不安がある場合、体力低下を考慮したプログラムを!
当施設では明らかに体力に不安のある方の場合、まずは体力低下の現状分析をしっかりと行い基礎体力の改善を図るための作戦を立てます。この問題は生活習慣(運動・食事・睡眠など)が絡んでおり、プロの医療スタッフの手助けが必要な場合もあります。この記事をお読みの方で、体力低下の不安が強い方は病院の主治医に相談したり、介護保険を利用したリハビリの専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)や栄養士など相談の出来る方に繋げてもらうのもありでしょう。
そこまでではないという方は散歩したり、外出するなど、20分などの短い時間でも構いませんので週3~5回定期的に身体を動かす機会を作りましょう。一人で不安な場合は家族や友人を伴ってくださいね。急がなくても大丈夫です、体力強化は一日一日の積み重ねです。少しづつで構いませんので活動量を増やしていくための作戦をたてていきましょう。動き難さや多少の疲れはあるかもしれませんが、なんとかできたら次の段階にいきましょう。